Creators' Talk

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THE NORTH FACEを知るクリエイター達へのインタビュー

kamikene

www.hatos.org

kamikene(hatos, normalization)
アート・ディレクター/グラフィック・デザイナー。さまざまなクリエイターからなるhatosの一員。ミニマムでストイックなデザインからアナログな手法のコラージュ作品まで広範囲に渡る作風にあって、一貫として安心感を覚える芯の通ったデザインには、多くの雑誌、ブランド、レーベルから信頼が寄せられている。『+81』へはVol.15から参加。以降、Vol.25、29、32の表紙デザイン他、多数のページを担当。他にもURBANVOICE、supeRbなどの雑誌、TIGER、kuniyuki a.k.a. koss、DJ KENSEI、DJ KRUSHなどのアナログやCDスリーブ、THE NORTH FACE、BURTONなどのTシャツや広告他を手がける。









interview

クリエイティヴ集団hatosの一員であり、グラフィック・デザイナーとして本誌のエディトリアル・デザインや、THE NORTH FACEの広告などを手がけるKamikene。前半では、デザイナーとしてのこれまでの道のりを含め、現在の彼のデザイン観を語ってもらったが、後半ではTHE NORTH FACEとの繋がりや、その仕事を中心に話を聞いた。デザインを通してブランド・イメージ構築の一端を担っている彼の目に、THE NORTH FACEはどのようなブランドとして映っているのだろうか。


THE NORTH FACE(以下TNF)の広告やインヴィテーションなど、多くのグラフィックを手がけていますが、初めてTNFと仕事をしたのはいつですか?


TNF原宿店がオープンする際、雑誌広告の制作を受けたのが初めての仕事です。だから、もう4、5年くらい前かな。それ以降、全てではないと思いますが、TNFプレスの小口さんを中心に展開する案件では、雑誌広告、インヴィテーション、フライヤーなどのデザインを担当させてもらっています。


当初抱いていたTNFのイメージはどのようなものでしたか?


当時は現在ほど路面店も多くなかったし、ヒップホップなノリでTNFを着る人たちを街中などで見かけていたので、正直、そうしたイメージのほうが強かった。けど、原宿店や表参道ヒルズ店ができて、ブランドが直接発信するコンセプトを感じたり、TNFの仕事を通じて、機能性を追求する真のアウトドア・ブランドだと理解するようになりました。


仕事を重ねたことで感じ得たTNFの理念や哲学はありますか?


妥協せずに機能性を追求する物づくりはもちろん、TNFのアイテムは、単純に物や服としても所有したくなる魅力がある。あと、例えば、TNFがサポートするアスリートや起用するアーティストは、有名無名やメジャー/マイナーに関係なく、彼らが本当に素晴らしいと思っている人たち。他の大企業などの場合は、既に名が売れている人を起用して、それに便乗するケースが多いけど、TNFは世間の流行や風潮に流されずに、ブランドとして独自の審美眼を持っている。そこは尊敬できるし、かっこいいですよね。


TNFのアイテムを実際に使ってみて気づいた魅力などは?


温かくて軽いし、肉体的にもメンタル的にも気分よく着れますよ。それと同時に、単純に服としてもシンプルで気が利いていて、俺は好きですね。普段着を買う感覚で選べる。TNFを着るようになる前は、普段のスタイルとアウトドアでのスタイルは別々のもので、アウトドアへ行く時は改まってそれなりの準備をしていた。けど、TNFの場合は、普段の格好のままでアウトドアに行ける。そういう意味で、アウトドアが身近になったかもしれない。


TNFの広告ヴィジュアルは、大自然とアスリートが融合した写真を起用したものが多いですが、そうした素材を使うことに難しさを感じませんか?


難しいと感じたことはないですね。TNFから支給される写真は、その被写体も撮影者も“本物”の人たち。力がある人が誠実に作り上げた写真だから、届く度に「おお!」と思うし、その素晴らしさに心が震えることも多い。とにかく、ブランドとしての姿勢がしっかりしているから、変に誇張する必要はなく、TNFが持っているものをまっすぐに伝えられればいいと思っています。


自身もアウトドアに興味があるのですか?


好きですよ。本格的にやったりはしていないけど、夏の野外のパーティは昔から好きで頻繁に行っているし、たまに山登りやキャンプをやりたくなって、友人たちと出かけることもあります。デザインの仕事を始めてからは忙しくて、なかなかそういう時間を作りにくくなっていたけど、TNFの仕事やスノーボード関連の仕事を受けるようになって、大自然やライダーたちの写真に刺激を受けて、最近は少し無理してでも時間を作り、自然の中へ出かけるようにしています。あと、数多くの野外パーティを体験してきたけど、その中でもTNFがサポートする『Big Fun』というパーティは心から「すごい!」と感じました。札幌郊外の山の麓の片隅で開催しているパーティで、東京に住む人たちにはその情報もなかなか届かないけれど、そこには心から音楽を愛する人たちが集まって、温かくて心地良い夢のような空間をみんなで作り上げて、楽しんでいる。大きな宣伝効果を狙うわけではなく、その温かい集まりの素敵さをTNFはサポートしている。本格的なアウトドアやアスリートだけでなく、そうした真に素晴らしいカルチャーに関わっている点も、TNFの大きな魅力だと思います。


これまで手がけてきたTNFの仕事の中で、最も思い出に残っている作品は?


去年の冬のカタログですね。商品の色を忠実に再現し、スペックを細かく表記して伝えるのが通常のカタログですよね。でも、このカタログでは、色や数値の忠実さとは違った方法で、実際に商品を使った時の雰囲気や、その物の持つ魅力をよりリアルに伝えることに挑戦しました。そのアイテムが真の力を発揮する場である大自然の風景やライティング写真と、商品としてではなく、日常の中で感じる魅力を引き出すことを重視して撮り下ろしたアイテム写真を組み合わせて、写真集に近いような仕上がりなりました。「これまでの既成概念を壊すようなカタログを作りたい」というアイデアは、TNF側からの提案でした。だからこそ、仕様や撮影方法などを試行錯誤して、手探りながらも「新しいものを作り出す」という意識が制作に関わったみんなの中にあった。本当に面白い仕事でしたね。


今後、TNFへ期待することは?


TNFの商品のクオリティや物づくりに対する妥協のない姿勢は、完全に揺るぎないものだと思いますが、それに加え、カルチャーへの関わりにも注目しています。例えば、自分は、ブランドが主催するレセプションやパーティなどへ行ってもなかなか馴染めず、どちらかというと苦手なほう。けど、先日のTNF40周年の展覧会『DO MORE WITH LESS』のレセプションは、すごく楽しめたんです。そうした改まった場であっても、みんなが楽しめる空気をTNFは作り出せる。音楽や展示内容も含め、表層的ではない、真に楽しい空気を感じて、「これができるアウトドア・ブランドは他に無い」と、酔っぱらいながらも思いました。“カルチャーに力を与えていく”ことのできるTNFの姿勢やパワーには、今後も期待しています。


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